
子どもが言うことを聞かない、部下や後輩をうまくモチベートすることができない。
相手の目標達成をサポートする上で知っておきたい「コーチング」、相手に気付きを与えて自発的行動を促す技術です。
この魔法のような技術の初歩の初歩をインプットして参りましたのでご紹介します。
コーチングとは?
コーチングとはどんなものでしょう?
コーチング(コーチ)の語源
ハンガリーの町「コチ」で四輪馬車が最初に引かれたことにちなんで「大切な人を目的地まで連れていく役目を担うもの」という意味が転じて「目的を達成するための助けとなる人」のことを「コーチ」と呼ぶようになったようです。
「コーチング」とはその人が本来持っている能力を引き出す指導のことを指します。
【ご参考】ウィキペディアより
https://ja.wikipedia.org/wiki/%e3%82%b3%e3%83%bc%e3%83%81

ティーチング(ティーチ)との違い
スポーツなどの指導者を「コーチ」と呼びますが、一般的に行われていることは「コーチング」ではなく「ティーチング」です。「ティーチング」は知識や技術・経験の差を埋めるような指導のことを指します。
「ティーチング」は受動的な指導であることがほとんどで、教えられたこと以外はできない人材が育成される恐れがあります。グローバル化の進展や多様性が求められる時代背景から、指導法の中に「コーチング」を織り交ぜて自分の頭で考えて能動的に行動できる人材が求められるようになっています。
コーチング | 答えを引き出す | 考えた方法を使う | 能動的 |
ティーチング | 答えを教える | 与えられた方法を使う | 受動的 |
コーチングの技術
コーチングの技術の一例をご紹介します。
傾聴

相手の言葉に耳を傾け聴く事。
聴く事の本質は興味や関心にあります。表面的に「聞く」のではなく、相手の言葉の目的や意図、背景や動機などの言葉の裏に隠れた事柄に興味や関心を持って「聴く」ことがコーチング重要な技術の一つです。
ペーシング
会話のペースを合わせるテクニック。
うなずき、相槌、目を合わせる、話すスピードを合わせる、表情や態度を合わせるミラーリングなどが「ペーシング」です。
否定的な受け答えや会話を遮る行為や話題の横取りは禁忌です。
メラビアンの法則
メラビアンの法則というものがあります。
①言語情報(内容や意味)
②視覚情報(表情や態度や仕草)
③聴覚情報(声の大きさや口調やテンポ)
人が会話の中で重視する情報を上記の3つに分けて調査した結果、①言語情報7%②視覚情報55%③聴覚情報38%となったというものです。
これは身振り手振りや口調などの方が言葉そのものの内容よりも相手に与える影響が大きいということを意味しています。話を聴く際や話をする際には身振り手振りを交えること(視覚情報)や声の大きさや口調を工夫する(聴覚情報)といった非言語情報に気を付けなければなりません。
【ご参考】ウィキペディアより
承認
承認=褒める事・認める事で、承認主体や承認対象をどうするかで伝わり方が変わってきます。
承認主体
①相手の行動や結果を主体として褒める「YOUメッセージ」
例:あなたの仕事ぶりは素晴らしい。
②自分(や自分達)を主体として相手の行為などを褒める「Iメッセージ(WEメッセージ)」
例:私は(私達は)あなたの素晴らしい成果で助かりました。
どの主体で承認するか、「YOUメッセージ」や「Iメッセージ」を組み合わせることでより強く伝わる可能性があるため、方法を考える必要があります。
承認対象
①行為承認(相手の行為や結果を褒める事)
例:仕事の成果や結果を褒める、認めるなど。
②存在承認(相手の存在そのものを認める事)
例:挨拶する。食事に誘うなど。
存在承認があって初めて行為承認が受け入れられるという研究結果があるため、存在承認を心掛けて行為承認のみにならないよう留意します。要するによく知らない人に褒められても嬉しくないという事です。
【ご参考】ウィキペディアより
https://ja.wikipedia.org/wiki/%e8%87%aa%e5%b7%b1%e5%ae%9f%e7%8f%be%e7%90%86%e8%ab%96
「褒める」「叱る」「怒る」

①「褒める」:前進への促し、良いことを続け、加速するよう促す行為。
②「叱る」:理性的な反応。相手の良さを引き出し、挽回することを促す行為。
③「怒る」:感情的な反応。相手を否定する文言が多くなり、挽回を促さない行為。
「怒る」のではなく「叱る」必要があります。
効果的な叱り方
効果的に「叱る」ためには行動科学のABCを心掛けます。
「A」Antecedent:先行条件(行動のきっかけとなる体験等)
「B」Behavior:行動
「C」Consequence:結果
望ましい結果が得られればそのことが先行条件(前回の行動による成功体験)になって更なる成功体験へ向けた次の行動を起こすようになり、望まない結果が得られるとそのことが先行条件(前回の行動による失敗体験)となって同じ失敗をしないよう別の行動を起こすようになります。
そのため、結果に対しては望ましい結果であったのか望ましくない結果であったのかをタイムリーにタイミングよく伝えることで、その後の行動につながり好循環が生まれます。
「叱る」際には以下の点に注意すると良いようです。
①人前で叱らない②理由をきちんと説明する③短く端的に伝える④その場限りで後で持ち出さない⑤相手の性格に応じて叱る

質問
コーチングは良き気づきを与えること、内省を促す関わりのことです。
第三の「訊く」(=質問する)ことの技術を磨く事で相手に気づきを与えることができます。
効果的な質問方法
質問方法の種類にクローズドクエッションとオープンクエッションがあります。
クローズドクエッション
回答範囲を限定した質問で主に「はい」や「いいえ」で答えられる質問法を「クローズドクエッション」といいます。「クローズドクエッション」は質問する側に主導権があり、仮説の検証になっていることが多く、ともすると誘導尋問になっている場合があります。確認や意思決定の場面では有効ですが、積み重ねてしまうと相手は「詰問されている」ように感じてしまいます。
例:宿題やったのか?(やっていないのではないか?との仮説の検証になっている)
例:明日の準備は大丈夫か?(大丈夫と答えざるを得ないよう誘導されている)
オープンクエッション
回答範囲を限定せず、相手に考えさせる質問を「オープンクエッション」といいます。「オープンクエッション」は回答する側に主導権があり、「5W1H」(When=いつ,Where=どこで,Who=誰が,What=何を,Why=なぜ,How=どのように)で質問する事が多くなり、相手に考えさせ内省を促し考えを引き出すことができます。
例:宿題はどのくらい進んでいるの?
コーチングでは「オープンクエッション」が繰り返される内に回答者側は自身の問題点について気づき、解決のアイデアが浮かぶこともあります。回答者側が回答する行為は質問に対する答えをすると同時に話している内容を自分自身に問いかけています。その時に起きる気づきをコーチングの世界ではオートクラインが起きたと言います。このオートクラインの繰り返しが問題への解決方法を自ら導き出すきっかけとなります。
上記の例ですと
例:宿題はどのくらい進んでいるの?
(ほとんど終わったと答えたけど、まだ半分残っている、急いで終わらさなければ)
などのように質問に回答する内に気づきが生まれ内省が促されます。
フィードバック

結果に対するフィードバックを適切に行うことも必要な技術です。
①具体的な事実を複数挙げて伝える。
②自分がどのように思ったか「Iメッセージ」で伝える。
③相手を非難する「YOUメッセージ」で伝えない。
④相手の今後の成長を考えて伝える。
こうした方法で自発的な挽回を促すことが効果的なフィードバックといえます。
まとめ
「コーチング」は人とのコミュニケーションにおいて有益な技術です。やり方や学び方は様々だと思いますが、可能であればセミナーなどに参加し本物の「コーチング」を体験することが近道と言えます。また、学んだら実践(アウトプット)することでオートクラインを実感することもできます。現に私はこの記事を書きながらオートクラインの連続です。より実践的なアプローチは後日まとめたいと思います。

コメント